サンゴについて

八重山が誇るサンゴの多様性

サンゴ礁を形づくる造礁サンゴ類には、およそ800種類あることが知られていますが、八重山から奄美にかけてのサンゴ礁海域には、そのうちの415種が近年の調査によって確認されています。これらのサンゴの種数は、北上するにつれて減少するという緯度と関連した分布が見られることから、最も南に位置する八重山では極めて豊富とされています1)
八重山の海に広がるサンゴ礁には、世界有数の数のサンゴが息づき、美しく多様なサンゴ礁生態系が築かれているのです。

サンゴ礁が担う主な役割

サンゴ礁の分布域は、世界の海のわずか0.2%、大陸棚の1.2%に過ぎませんが、海の魚の約25%がそこに生息し、100〜300万種の生きものを支えている2)と言われています。
ひとえに100万種などと言われても時間がわかないかもしれませんが、途方もない数であることに違いはありません。サンゴ礁は、海の生きものがにぎわう拠点としての役割を担っているのです。

また、人にとっても重要な役割を担っています。たとえばサンゴ礁は、5〜10億人以上の食料源となっていると推定されています2)。私たちはサンゴをそのまま食べることはありませんが、サンゴ礁で捕れた魚を食べたり、イノーで採れたモズクやアーサを日常的に食べたりしています。サンゴ礁は私たちの食料源としても重要な役割を担ってくれています。

さらに、八重山には多くの観光客が訪れます。沖縄県の観光統計3)によると、2019年に八重山に訪れた観光客は148万人以上、観光消費額は980億円を上回ります。観光客が来訪する一番の目的は、観光地めぐり、海水浴・マリンレジャー、保養・休養などの順に多く4)、八重山の健全なサンゴ礁を直接的・間接的に求めての来訪と言え、観光資源としての役割も担っています。

そのほかにも、八重山の島々を波の浸食などから守る自然の防波堤としての役割も極めて重要です。沖縄県におけるサンゴ礁の防波堤としての価値は、年間559億円に上るという試算もあります5)。また、サンゴ礁由来の石灰岩が建築用の資材に用いられることや、石西礁湖自然再生全体構想には、「生物とのふれあいを学ぶ場」や「豊かな文化のみなもと」なども併せて挙げられており、このような様々な役割をサンゴ礁は担ってくれているのです。

サンゴ礁を守るには

多くの恵みをもたらしてくれるサンゴ礁は、いま、海水温の上昇によるサンゴの白化現象や、オニヒトデなどによる食害、赤土流出や水質悪化などの陸域からのストレスなどにより、健全さが損なわれ、白化現象からの回復力も弱くなってきています。
そこで、「かつてのすばらしい石西礁湖のサンゴ礁を取り戻したい」「サンゴとともに生きる地域をつくりたい」といった思いを持った人たちが八重山に集い、サンゴ礁を守るために何をしていくのか、どのような目標に向かって進んでいくのか、などについて話し合う「石西礁湖自然再生協議会」が設けられました。そして、話し合いの結果は「全体構想」6)としてまとめられました。
この中には、私たち一人一人から始められる取り組みを始め、農家や漁業者ならではの取り組みなど、サンゴ礁を守るポイントやヒントが満載されています。
ここでは、私たちが挑戦できるアクションとして、12の取り組みを紹介します。まず、自分から始めてみましょう。そして、できるようになったら、周りの人たちにも伝え、取り組みの輪を広げていきましょう。

アクション1:みんなでサンゴ礁の海に親しみましょう

サンゴ礁の海にでかけてみてください。そして、様々な機会を通して、この海に親しみ、学んでください。それが、サンゴ礁の海を守り育むなによりの力になります。

アクション2:海の利用状況を知っておきましょう

サンゴ礁の海では、漁業、ダイビング、船の運航などの様々な利用がされています。どこでどんな利用がされているかをよく知っておくことが事故やトラブルを未然に防ぎます。また、利用するときには、過剰な利用とならないようにしましょう。

アクション3:みんなで海のマナーを守りましょう

サンゴ礁の海を利用するには、まもらなければならないマナーやルールがあります。サンゴを踏んで傷つけないように注意しましょう。野生の生きものに餌を与えたり、よそから連れてきた生きものを放したりしないでください。また、入ってはいけない場所や、一般の人が使ってはいけない漁具もあります。

アクション4:みんなで八重山の産物を食べましょう

八重山の産物を食べることは、地域の農業や水産業の振興につながります。地域の農水産業が元気になれば、無理な農産物の生産や、過剰な漁業を行わなくてもよくなります。また、農水産物の輸送が少なくなり、CO2の排出量の削減にも繋がります。

アクション5:みんなでCO2の排出量を減らしましょう

石西礁湖では、これまでに大きな白化現象がしばしばおこり、その度に多くのサンゴが死滅しました。海水温の上昇を防ぐには地球温暖化防止の取り組みが重要です。私たちの生活や、産業活動で少しでもCO2の排出量を減らす行動をしましょう。

アクション6:みんなで生活排水の影響を減らしましょう

私たちの生活から出る生活排水は、海へと流れ込み、サンゴに悪い影響を与えるおそれがあります。下水道や集落排水が整備された地域の方々は、下水管に接続しましょう。それ以外の地域の方々は、できるだけ浄化能力の高い浄化槽を設置しましょう。また、日頃から洗剤やシャンプーを多く使わないなどの配慮が、サンゴ礁を守ることにつながります。

アクション7:みんなで沿岸の自然環境を守り育みましょう

八重山の陸と海の自然環境はつながっています。海岸林〜マングローブ林〜砂浜〜海草藻場〜サンゴ礁などの陸から海に至る変化の中で豊かな生態系が存在しています。この沿岸の自然環境を守り育むことが、未来に豊かな環境をつなぐことになります。

アクション8:みんなでサンゴ礁の海を守り育む活動に参加しましょう

サンゴ礁の海の自然環境を守り、再生するためにサンゴの観察、海岸の清掃、学習会やシンポジウム、募金や寄付、環境学習などの様々な活動が行われています。このような活動に関心を持ち、参加してみましょう。

アクション9:互いに協力しながら水産資源を育みましょう

将来にわたって、サンゴ礁の海の豊かな水産資源を得るためには、「産卵魚の保護区」や「漁獲体長制限」などを守り、水産資源を育みながら、持続可能な漁業をしていきましょう。

アクション10:工事で赤土を流さないように対策をしましょう

工事で土を掘りかえすと、雨で赤土が流れ出します。沖縄県では、面積が1,000岼幣紊粒発や工事などの事業行為には、赤土流出防止対策が義務づけられています。また、小規模な工事でもできるだけ赤土が流れ出さないように、土の面を被覆する、沈殿池を設けるなどの対策を行いましょう。

アクション11:農地から赤土が流れ出さない工夫をしましょう

農地から赤土等を流れにくくするには、サトウキビでは株出し栽培を行いましょう。サトウキビの春植え栽培を行う場合には、敷き草やグリーンベルト、深耕などの営農対策を1つ以上行いましょう。サトウキビの夏植え栽培を行う場合には、2つ以上の営農対策を行いましょう。パインや野菜等については、マルチもしくは2つ以上の営農対策を行いましょう。土壌は大切な財産です。流してしまい損をしないようにしましょう。

アクション12:農地の肥料や農薬をなるべく少なくしましょう

畑や牧草地などに施す肥料や農薬の成分は、いずれ海に流れ出し、サンゴに悪い影響を与えるおそれがあります。肥料や農薬の量をできるだけ減らすために、散布の時期、方法、回数などを工夫しましょう。化学肥料ではなく、八重山の堆肥を使うことも効果的です。

フレンドシップの取り組みでは、すでに協議会に入ってサンゴ礁を守る行動を起こされていたり、協議会に属さなくでも海への環境負荷を少なくする取り組みをされていたり、また、これから新たに取り組みを始められようとする皆様と情報交換し、交流を育み、サンゴが元気になる力を取り戻せるように、取り組みを発展させていきたいと考えています。

あなたも登録して、フレンドシップの仲間入りをしませんか。

1) 環境省・サンゴ礁学会(2004)日本のサンゴ礁.
2) 生物多様性条約事務局(2010)地球規模生物多様性概況第3版.「原典:Global Biodiversity Outlook 3」
3) 八重山入域観光客数統計概況(暦年).沖縄県Webページ.
4) 沖縄県文化観光スポーツ部観光政策課(2018)平成29年度観光統計実態調査報告書.
5) 環境省自然環境局自然環境計画課(2016)サンゴ礁生態系保全行動計画 2016-2020.
6) 石西礁湖自然再生協議会(2007)石西礁湖自然再生全体構想-島人の宝 豊かな海を守る-.